東北高校駅伝、クマの出没で「たすき」なし 異例のトラックレースに

相次ぐクマ出没の影響で、秋田市で6日に開催された東北高校駅伝競走大会は、たすきをつなぐレース形式の変更を余儀なくされた。「たすきをつながない駅伝大会なんて」。そんな声もあるなか、選手や関係者の安全を守るため、苦渋の決断に踏み切った。

【写真】「たすき」なし駅伝以外もクマの影響　スポーツ大会で相次ぐ中止や変更

6日午前10時。秋田県立中央公園内にある陸上競技場のトラックで、約30人の選手が一斉にスタートを切った。ただ、駅伝でおなじみの「たすきをつなぐ」光景はなかった。

当初は、選手たちは公園周辺のコースを走り、競技場内で次の走者にたすきをつなぐ予定だった。しかし、公園があるのは秋田市の中心部から10キロほど離れた山に近い場所で、周辺ではクマの目撃情報が相次いでいた。

大会中にクマに襲われる恐れがあるとして、各区間の走者ごとに陸上競技場内のトラックを走り、タイムを合計して競う、異例の形式に変更された。

大会役員で秋田中央高校陸上競技部の遠藤幸樹監督は「『駅伝はたすきをつないでなんぼ』という声もあったが、選手やスタッフなど関係者の命には代えられない」と話す。

レース形式の変更が決まったのは、開催のわずか8日前。秋田中央高校2年生の佐々木大輔主将（17）は「トラックレースへの変更は聞いたこともなかった。まさか自分が経験するとは」と驚いたという。

この日の大会では、クマよけの対策として、公園の敷地内に音楽や爆竹の破裂音が鳴り響いた。選手がウォーミングアップするエリアも制限され、競技場への道中には、クマを防ぐためのバリケードが設置された。

トラック15周で6キロを走った秋田県立大曲高校1年生の武藤優妃音さん（15）は「戸惑いもあったけど、たすきがなくても仲間に思いをつなぐことはできたと思う」と話した。（古畑航希）
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