【大学】かつては「声援隊」とも　部員不足に悩む大学応援部　奮闘の留学生も

朝日新聞2023年10月9日 12時00分
https://www.asahi.com/articles/ASRB7549VRB6UHBI05B.html

　大学応援部の花形は学生服姿で応援席を仕切る「リーダー」たちだ。近年、部員不足に悩まされる学校も多いなか、今春、半世紀以上の歴史がある東大応援部に1人の留学生が加わった。運動経験もほぼない文化系の留学生が、なぜ日本で「応援」を選んだのか。

　9月9日、東京・神宮球場で明治大との東京六大学野球秋季リーグの開幕戦があった。三塁側の東大応援席。「頑張れ、頑張れ、と・お・だ・い！」。特徴的な丸めがねをかけて絶叫するのは、東大1年の李乾熙（イゴニ）さん（20）。1946年創部の東大応援部でも珍しい、韓国からの留学生だ。

　李さんは高校時代は毎日深夜まで勉強し、運動経験もほとんどない。初めて神宮の応援席に入った春季リーグ戦では、ファンらが一丸となる姿に「応援でこんなに熱くなれるなんて」と驚いた。

　学生の応援文化を研究する鳥取大の瀬戸邦弘准教授によると、大学応援部は明治時代の旧制高校にルーツを持つ。学校対抗の試合で観客によるトラブルが増えたことから、観客席を統率する役割を担い、当時は「声援隊」などと呼ばれることもあったという。

　75年に連載が始まった漫画「嗚呼！！花の応援団」の流行などで部員が増えた時期もあったが、近年は減少傾向に。現在約50の応援部があるとされるが、活動休止を余儀なくされるケースもあるという。