給付金詐欺元学生「自民党という立場を使って抜け道があると議員秘書に言われた。総理と握手する写真を見て本当だと思った」

政治との関わりはあったのでしょうか。新型コロナ対策の「持続化給付金」を巡る詐欺事件の裁判で、被告の元大学生が「国会議員の秘書をかたった男性」から、不正受給の知識を得たと証言しました。その男性が開いたセミナーの音声を入手しました。

「衆議院秘書選挙区事務局の〇〇と申します」
「自民党の利権でこういったものが、給付金ってものがあるから」
「私ども自民党としましては、皆さんが持っていない情報を持っている」

　これは去年５月、名古屋市内で開かれた持続化給付金に関するセミナーの音声です。

　関係者によりますと、話しているのは愛知県内の自民党・衆議院議員事務所の元男性スタッフ。

　そのセミナーに参加していた1人が、愛知大学の元学生、大矢圭一郎被告でした。去年、持続化給付金あわせて300万円をだまし取ったなどの罪に問われています。

「友達の友達に紹介され自民党の〇〇さんの話を聞きに行った」「自民党の中で仕事をし、総理の側近として働いている方で、名刺を見せてもらった」（大矢被告の裁判での証言より）

　18日の公判で大矢被告は、知人に誘われセミナーに参加したと証言しました。

「自民党という立場使って抜け道知っている」セミナーで語られた内容

　そのセミナーでは…

「社長が個人事業主という“てい”で、確定申告をさかのぼって開業届を出していただければ、200万円と100万円、両方もらえますよ」
「個人事業主としてちゃんとやっていく意思があったんだ、というようにしておけば、不正受給にはならないものですから」（セミナーの音声）

　持続化給付金は、新型コロナの影響で収入が前の年に比べ半減した個人事業主などが対象になります。

　しかし衆議院議員事務所の元男性スタッフは、対象外の人も指示通りに架空の売り上げ台帳と確定申告を出せば受け取ることができる、などとセミナーで説明。参加者に「不正受給」を指南しているともとれます。さらに…　

「自分が該当するかというところと、こういったグレーゾーンのところをグレーゾーンにしない方法。ちゃんともらえる条件になる方法は、基本的に経済産業省のHPには書いてないもんですから。そこで私が、自民党という立場を使って抜け道を知っているので」（セミナーの音声）

　自民党という肩書を利用し、信じ込ませようとしていたのでしょうか。さらに、男性は、セミナーの参加者が給付金を受け取ることができた場合の“成功報酬”にも触れていました。

「基本的にはもちろん僕らが成功報酬からもらうものに十分含まれていますので、確定申告の説明から全部やります」
「皆さん若者には変な業者さんにだまされることはぜひ避けてほしいと思いますので」（セミナーの音声）

セミナーでの男性の説明について、大矢被告は裁判での証言でこう答えています。

（弁護側）「その話が本当だと思っていた？」
（大矢被告）「そのときの話は本当だと思っていた」「総理と握手をしている写真と名刺を見て、話は本当だと思った」

　男性が勤めていたという、衆議院議員事務所の関係者は、取材に対し「男性は一時期、ボランティアとして出入りしていた。秘書ではないし、今は出入りしていない。セミナーについて本人に聞き取りをしたが、何のことやら分からないと驚いていた」と答えています。

　警察も、このセミナーについて把握していて、この男性が不正受給に関与した可能性もあるとみて捜査しています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/4a372b52878a2b4988ed218246140b01d38c9a3f?page=1