リベラル派経済学者「ベーシックインカムはダメ。医療・教育・介護を無料にする『ベーシックサービス』をやるべき。財源は消費税」

ベーシックインカムがダメな理由

――公助からスタートすれば、必ず指摘されるのが財源です。

「全員が負担者となる消費税が中心でしょう。すべての人々が痛みを分かち合う税制です。
貧しい人の負担が大きくなる逆進性を指摘する人がいますが、現実は反対で、贅沢なものをより多く買っている富裕層の方が、消費税の負担額は大きい。
そしてこの財源を使って、すべての納税者のサービスを無償化する。考えて下さい。年収1000万円の人が100万円のサービス給付を受けても10%の受益ですが、年収200万円の人は50%の受益です。
これをベースに、金融資産課税、所得税、相続税といった富裕層向けの課税を組み合わせ、低所得層対策に振り向ければいい」

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/76050?imp=0

「2017年、19年、二度の選挙で消費増税を訴えた与党が圧勝したじゃないですか。国民は単に増税に反対しているのではなく、税の使いみちを不安に思っているのです。
税が自分の生活を豊かにするとなれば話は別なんです。幼保無償化の予算は約9000億円ですが、2%増税で見込まれる税収増は約5兆6000億円。
幼保以外の医療や介護の負担軽減までセットにしていれば、野党にも勝機はあった。なのに増税凍結とやる。反消費税だけで勝てる時代はもう終わっています」

――国民全体への給付であるベーシックインカム（BI）には反対、サービス給付のべーシックサービス（BS）を提唱されています。

「将来不安の解消に、教育、医療、介護などに給付するBSは必要です。BSに対してBIは効率が悪くムダが多い。コロナ禍に提供された全国民への給付金は、ひとり10万円で約13兆円でした。
このおカネがあれば、医療、介護、大学を無償化し、介護士、保育士の給与も引き上げてもおつりが来ます。BSは必要な人しか使いませんが、BIは全員にお金を配らなければならないので莫大な財源が必要なのです」

井手氏は、「国民の幸福のための政治」を提案、そのうえで成長路線から脱却した国家像を提起する。

現段階で、スガノミクスとの差は大きいが、成長路線の行き詰まりを感じた時、「ガンコだが、聞く耳は持つ」という菅氏が、井手氏のイデノミクスを採り入れることを期待したい。