【悲報】中国経済、終わる。泳いで台湾に亡命する人民が急増

しかし、市民の中台間往来が自由になったいま、敢えて危険を冒して密航するメリットはあるのか？　相次ぐ密航は何を意味しているのだろう？

「台湾の高度な医療を受けたい」

台湾の沿岸警備を担う海洋委員会海巡署（海上保安庁に相当）は８月９日、中国大陸に近接した金門県大胆島の海岸から500メートル沖合を泳いでいる不審な男を発見した。
男は対岸の中国福建省廈門（アモイ）市黄厝海岸から７時間半あまりかけて廈門水道を横断し、約10km東の台湾・金門島を目指していたという。
だが、方向を見失い、男が流れ着いたのは黄厝海岸から4.4km南の台湾・金門県大胆島だった。
男は中国内陸部・四川省の李某（42）で、替えのパンツを詰めたペットボトル9本を浮き袋として体にくくりつけ、
人民元約8000元（約12万3000円）、身分証明証、銀行のキャッシュカードを所持していた。
取り調べに対し李某は密航の目的を「ここ最近ずっと体調不良で気分がすぐれないのだが、中国の医師は大事ない、心配するなとマトモに取り合ってくれない。
そこで台湾の高度な医療を受けるため6月1日から１泊２日で金門島へ旅行で訪れ、島の診療所で外来受診した。とても丁寧に対応してもらったので印象が良く、中国に戻ったあともすぐに金門島を再訪したくなった
。でも、中国人が台湾を再訪するには、一定期間を空けないと申請しても許可されない。そこで泳いで密航することにした。
８月８日午後7時に廈門を発ち、途中の無人島でひと休みしたあと、金門島だと勘違いし大胆島へ、向かって泳いでいた」と供述した。
10日で4人が泳いで密航

驚くべきことに、台湾・海洋委員会海巡署の発表によると、7月末から10日足らずのうちに、中国大陸から台湾・金門島へ泳いで密航する事例が、前述の李某を合わせて4件も発生していたのだ。

7月31日には、中国南部・広西チワン族自治区の陸某（34）が着替えと救命胴衣、身分証、現金１万2500元（約19万円）、
ポリタンクの飲料水、饅頭（マントウ：中華風蒸しパン）２個をオール式のプラスチック製小型ボートに積み、金門島の田墩海岸沖合に漂着した。
ボートはネット通販で購入し、陸某は密航理由を「自由と民主主義世界を切望しており、台湾で事業を興してキャリアを築き、理想を実現するため」と語った。

8月6日には、中国東部沿岸・山東省から福建省廈門までの道のり1300キロメートルを１ヵ月以上かけて徒歩で走破した男・常某（27）が、
ビニール製浮き輪3個を身に着けて廈門港から金門島の東隣の小島・小金門に密航した。
常某は途中、漂流しているボーリング球を捕獲し、7時間かけて小金門の海岸に漂着した。
彼は人民元を1381元（約2万1000円）と、防寒のため遊泳中に咀嚼し、また上陸後に米と一緒に煮炊きし味付けするため乾燥赤唐辛子を２パック所持していた。
密航の理由を問われ「正当な方法で台湾を訪れることが困難だったからだ。自由を求めてやって来た」と繰り返した。
四川省の李某が金門県大胆島に流れ着いてから、明くる８月10日は容量2リットルの空きペットボトルを浮き袋にした安徽省の男・王某（43）が　福建省漳州港を９日22時に出発し、
途中、無人の岩礁で休憩したあと10日10時から13時過ぎに捕獲されるまで泳いでいた。所持品は即席袋麺２袋だけで、身分証やわずかな現金さえも携行していなかった。
王某は廈門で廃品回収の出稼ぎで最低限の生活を営んでおり、身分証も交付されていないため定職に就くこともできず、新天地台湾で新しい人生をスタートさせたいと思って密航を企てたという。

いずれの密航者の密航目的も、中国での生活に見切りをつけ、台湾で新たな人生を歩みたいといったものだ。

戦後、反右派闘争、大躍進政策、大飢饉、文化大革命などで社会が混乱し、困窮を極めていた1950～80年代の中国人が、“西側陣営”の一員として経済成長の波に乗っていた台湾に憧れるのは分かるが、
国民総生産（GDP）世界2位の超大国の人民が、中台緊張も緩和し、往来が自由化された台湾へ、わざわざ危険を冒して“密航”するのはなぜだろうか。
中国・廈門と台湾・金門島の間は、2000年から毎年1回、遊泳イベント「金廈泳渡」がおこなわれ、泳いで渡る「難易度が低い」イメージがあるのは事実にしてもだ。