安倍晋三に誹謗中傷しようと思う。　本気で嫌がるやつ教えてくれ

https://digital.asahi.com/articles/DA3S14456903.html

介助と診療、レッドゾーン　５７人陽性「まさか」、ごみ箱でバリケード　新型コロナ

発端は３月２７日朝だった。入所者６人が突然、熱を出した。
「インフルエンザの時期でもないのに、なぜ」
知的障碍者が暮らす「北総育成園」（千葉県東庄〈とうのしょう〉町）の白樫（しらかし）久子副園長（５５）は不安を覚えた。
体温計を脇に挟むのを嫌がる人もいたが、急きょ、全入所者の体温を測った。十数人が発熱していた。
その日の夕方、数日前から発熱で休んでいた調理担当の女性職員から電話があった。「新型コロナウイルスの陽性でした。入院します」。涙声だった。
翌２８日、症状のある入所者、全職員の計９２人を保健所が検査した。夜、その結果がファクスで届いた。
陽性５７人――。
「まさか」。白樫副園長はがくぜんとした。
感染症対策は入念にしていたつもりだった。毎日朝と晩、手すりやドアノブを消毒し、２月からは入所者の外泊や家族との面会はしないようお願いしていた。
クラスター（感染者集団）の発生後、園では１階のプレールームを３時間かけて消毒し、支援対策本部を設けた。２階の食堂は防護服の着替えなどをする「セミクリーンゾーン」に。ウイルスが飛散している可能性が高い
居住エリアの「レッドゾーン」との境には、入所者が入るのを防ぐため、空のごみ箱を重ねた高さ約１メートルの「バリケード」を作った。
医師や看護師、職員らは２４時間態勢で対応した。感染が確認されていない人も含め、入所者のわずかな変化にも神経をとがらせた。
つばを飲み込む時にのど仏の動きが普段と違わないか、声がかれていないか、食べるパンの数がいつもより減っていないか……。
体調の悪化を見逃せば、重症化し、命に関わる。白樫副園長は「知的障碍者は自分のつらさを訴えるのが難しいことがある。感染の不安を抱えながらのケアは大きな負担だが、入所者の命を守らないといけない」という。
連絡や調整も手探りだ。
職員は陰性でも、クラスターの判明前に感染者と接触があったとして、クリーンゾーンには入れない。
医師や看護師らによる対策本部会議では、職員だけは２メートル以上離れたセミクリーンゾーン内の廊下の椅子に座った。「（入所者が）顔をひっかいてかさぶたができることはよくある」。身ぶり手ぶりを交え、大きな声で会議に加わった。
応援に入った県職員の中には当初、ホテルの予約が取れず、自家用車の中や施設内の簡易ベッドで寝泊まりした人もいた。
最初の感染確認から約３週間たった１９日、感染していた入所者約４０人を改めて検査したところ、２２人が陰性だった。発熱のある入所者は数人いるが、いずれも容体は安定している。調理担当の女性職員の感染が判明する前にも発熱者が複数おり、感染経路は依然分かっていない。
２１日には医師の常駐を解除し、４、５人で対応していた看護師は１人減らして、態勢を縮小している。施設関係の感染者は２６日現在、入所者５４人、職員４０人、職員家族ら２７人の、計１２１人に及ぶ。
石出広・支援対策本部長は「クラスターは多くの福祉施設で起きている。発生した際の診療態勢について、施設が、地域の病院と事前に想定しておくことが早期の収束のためには大切になる」と話した。
■市職員が支援、不安と決意
園の設置者である千葉県船橋市からは、入所者の介助補助と施設の事務を助けるために、職員が交代で派遣されている。
第１陣は、市の身体障碍者施設で介助の経験がある若手職員ら介助担当３人と、事務担当２人。いずれも男性で、３月３１日、松戸徹市長から「入所者をなんとか支援しなければならない。行ってもらえないか」と頼まれた。
５人とも「自分にできることがあるなら」と応じるつもりだったが、家族と相談してから決める条件付きだった。
一人暮らしの戸頃翔さん（２８）は両親にＬＩＮＥ（ライン）で相談、「あなたが心配」という返信があった。それでも施設入りを決断し、５日間、近くの廃校に寝泊まりしながら、「レッドゾーン」で介助の補助をした。
仕事は午前８時ごろから１２時間近く。入所者の食事やトイレの介助、歩き回る人の見守りなどを担当し、立ちっぱなし。慣れない防護服の着脱などで仕事が終われば、ぐったりしてすぐに寝たという。
園での仕事が終わった後は、自宅などで２週間の健康観察となった。５人とも「対策はしていたが、もしかしたら感染しているのでは」と不安が募ったという。その後、ＰＣＲ検査で５人とも陰性に。戸頃さんは「人手が足りていない中で、少しでも役に立てたならよかった」と話した。