「ワシントンの桜」は兵庫・伊丹産　歴史から消された真実

世界的な桜の名所、米ワシントン・ポトマック河畔の桜が１００年以上前に当時の東京市から贈られたものであることは有名な話だが、その台木が兵庫県伊丹市産であることはあまり知られていない。それもそのはず、米側の記録には伊丹産である事実は全く記されておらず、長年その存在が消し去られていたからだ。そのことに気づき、米内務省に働きかけて公式ホームページ（ＨＰ）に「Ｉｔａｍｉ」の名を刻むことに成功した人物がいる。元同市職員、荒西完治さん（７１）の執念の物語を紹介する。（古野英明）

「い」の字もなく

　「なんや、伊丹の『い』の字も載ってないやないか。けしからん！」

　平成１１年２月、市国際課長だった荒西さんは、米内務省国立公園管理局ＨＰに掲載されているワシントンの桜に関する説明文を見て思わず声を張り上げた。

　明治４５（１９１２）年、東京市からワシントンに約３千本の桜が贈呈された。実はその３年前にも約２千本が贈られていたが、苗木から害虫や病気が発見されて焼却処分となり、高い園芸技術を誇る苗木産地の兵庫県東野村（現伊丹市）に「病害虫に強い桜を」と、台木づくりが託された経緯があった。現在もポトマック河畔で美しい花を咲かせている桜並木は、伊丹産の台木に、東京・荒川堤のソメイヨシノなどからとった穂木を接（つ）ぎ木したものだ。

　ところが、米側のＨＰには「東京・荒川堤の桜並木からとった穂木を野生種の桜からとった台木に接ぎ木し…」との説明文があるだけで、「伊丹」の名はどこにも記されていなかった。つまり、米側の記録上では長年にわたって伊丹の存在はなかったことにされていたのである。

全文はソース元で
2020.4.17 10:00産経WEST
https://www.sankei.com/west/news/200417/wst2004170002-n1.html