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https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250324/k10014756191000.html

“全中縮小”が問いかけること 変わる中学生のスポーツ大会

中学生の率直な声は影響の大きさを痛感させた。

去年、発表された全中大会＝全国中学校体育大会の9競技取りやめ。1979年（昭和54年）から50年近く行われてきた“中学全国一”を決める大会の縮小は、大きな波紋を呼んだ。

2027年度以降、現在行われている20競技のうち、9つの競技の実施が取りやめられるという動きの背景には、中学生のスポーツをめぐるさまざまな環境の変化があった。

そして今、“全中縮小”を機に、中学生のスポーツ大会が変わろうとしている
部活動設置率 20％未満が1つの基準
全中大会を主催する中体連＝日本中学校体育連盟が規模縮小を打ち出したのは去年6月。

2027年度の大会から水泳、ハンドボール、体操、新体操、ソフトボール男子、相撲、スケート、アイスホッケーが、2030年度からスキーが取りやめられることになった。

中体連は、2022年度（令和4年度）の調査をもとに、その競技の部活動を設置する中学校の割合が原則20％を下回っていることを1つの基準とした。

全国の中学校の部活動設置率のうち、男子の軟式野球は77％、バレーボール女子は73％。

一方で、水泳は男子19％・女子17％、体操は女子3％・男子2％と、オリンピックなどで数多くのメダルを獲得し、日本の“お家芸”とされる競技でも20％を割っている。相撲やスケートなどは設置率が1％以下だった。

取りやめ対象となったスキーの中体連の役員は部員の減少は深刻だと語る。

中体連 宮島秀樹スキー競技部長
「競技に取り組む生徒数が昔とはまったく違っていて、予選に出場すればそのまま全中大会出場というような県もいくつかある。さらにスキーの場合は、板やブーツなど用具代だけで4、50万はかかってしまうので、続けさせたくても続けられない家庭もあるのではないか。少子化や金銭的な負担などが合わさり、部員数は減る一方だ」

進む少子化 チームが組めない
“全中縮小”の大きな要因となっている少子化。中学生の数はこの30年で3割以上減少した。

それに伴い、単独の学校ではチームが組めない競技も急激に増えている。実施取りやめ対象の1つ、ハンドボールでは、この10年で全国の部員数が男子でおよそ2000人、女子ではおよそ4500人も減った。

そのため、複数の学校で行う合同部活動の実施チーム数は2024年度は41チームと、10年前と比べおよそ4倍にものぼっている。

東京・府中市の府中第三中学校では、女子のハンドボール部員は現在6人。おととし（2023年）の夏の大会で3年生が引退してから単独でチームが組めなくなった。

当時1年生だった、現在のキャプテン・中尾百花さんは、中学入学後にハンドボールを始めたが、入部わずか数か月でチームが組めなくなったことに不安を覚えたと振り返る。

中尾百花さん
「女子だけでは練習でやれることが限られ、男子に混じって練習するのもきつくて大変でした。試合に出られなくなるかもしれないと思うと心配で、何のために練習しているのかなと思っていました」

こうした状況を受けて、府中市内にもともとあった小学生のクラブチームに中学女子のチームが新たに設けられることに。

中尾さんの学校のほか、市内の別の中学校などからも生徒が加入して週末の練習や大会参加ができるようになった。

中尾さんも「自分のチームとして大会に出られるのがとても楽しいし、練習も試合のために頑張れるので、どんどんできることが増えていくのが楽しい」と話し大会出場への不安などはなくなったという。

対応問われる競技団体 変革打ち出す動きも
「試合が楽しい」という声をふまえ、各競技団体は“全中縮小”にどう対応しようとしているのか