【明大】さよなら「日本の戦後大学教育の象徴」　明治大和泉第2校舎の解体始まる　堀口捨己の代表作

さよなら「日本の戦後大学教育の象徴」　明治大和泉第2校舎の解体始まる　近代建築の大家･堀口捨己の代表作
東京新聞2022年3月25日 12時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/167696

　学生が急増した高度経済成長期に続々と誕生した大学の大型校舎の中でも傑作に数えられた明治大の和泉第２校舎（東京都杉並区、１９６０年完成）が老朽化で姿を消すことになり、解体工事が始まった。日本の近代建築運動をけん引した堀口捨己（１８９５～１９８４年）の代表作で、国際学術組織からも高い評価を受けていた。記憶を継承する活動が進められている。（浅田晃弘）
　
　完成当初の和泉第２校舎の名称は単なる「大教室」だった。４階建ての中に、計３８００人を収容する８つの大教室があった。いずれも教壇から後ろに行くほど座席が高くなる階段型の形状が採用された。

　教室の床の傾斜にあわせた廊下（スロープ）が建物の外にある。堀口は「回り廊下式斜路」と呼んだ。

　「明治大学和泉第２校舎の設計にあたって」と題した原稿では「４０００人近い学生が集まり、同時に散るということが繰り返される。…人の動く流れをできるだけ速く滑らかにする解決として生まれた」などと説明した。デザイン的にもユニークなものになり、外壁を設けないことで建設費の削減につなげた。

　校舎は、２０世紀に発展したモダニズム建築の研究・保存のための国際組織「ドコモモ」日本支部が２００３年にまとめた「１００選」に、現在は世界文化遺産の国立西洋美術館（東京・上野公園）とともに選ばれた。水平の庇ひさし、斜めの通路で構成するダイナミックな外観が「ローコストでありながら『強い』表現」と称賛された。

　校舎整備の背景は、大学教育の「マスプロ化」だった。明大が新制大学に移行した１９４９年に５５００人だった学生数は、５年後に３万４４００人へとふくれあがる。教室の確保が急務で「拡大する大学の時代の象徴的な建物だった」（広報課）。

　校舎では文系学部の１、２年生が授業を受けた。１９９３年、文学部に入学した湯淺幸代准教授（日本文学）は「授業が終わり、スロープに出たときの開放感」が記憶に残る。校舎の前に広がる庭園は堀口が手掛けた。

　平安文学が専門の湯淺さんは、当時の貴族が、建物のどこからでも庭に出られるようにと建てた寝殿造りとの共通性を感じている。「ほっとする場所でした」

　消えゆく校舎と入れ替わりに整備された新教育棟はスロープのデザインを継承した。解体工事は９月ごろまで。跡地は「学生のための新しい広場」になる。

　解体にあたり、同大学史資料センターは「日本の戦後大学教育を象徴する建築物の記録」として、ドローンによる空撮などで詳細なデータを集めた。今後は、これらの資料の活用で堀口や和泉第２校舎の果たした役割を「学内外へと発信したい」としている。

戦前は大学とか役所みたいな公共建築は国の威信をかけてぜいたくに作った

自分でも何か違ったような気がしながらレスしてたわ